Blog7-2 続:日本のIT販社/SIerの生き残りをかけて

プラットフォームから外れたビジネスの選択肢は限られる、しかも大きな水揚げは期待しない方が良い。

さて、前号の続きを進めてみよう。

 

  1. クラウドの周辺ビジネスとして検討する マルチクラウド/Kubernetes/OpenShift/コンテナ管理・監視

オープンソースであるコンテナとそのオーケストレーションツールは、仮想マシン方式のようなハードウェア・スタックの仮想化を行わず、OSレベルで仮想化して、複数のコンテナを OS カーネル上で直接実行するため、コンテナは非常に軽量となります。OS カーネルを共有するため、OS 全体を起動する場合と比較して起動が非常に速く、ほんのわずかのメモリしか使用しないため、リソース的にも有利であり、期待が高まっています。何よりも、Google、AWSをはじめプラットフォーマーやSaaSプレイヤーがこのオープンソースを推奨しているため、爆発的な広がりが考えられます。興味の中心は、このオープンさを彼らがどこまで放置するだろうかというところですが、今のところこれをコントロールしようという兆候は見えません。

 特にKubernetesを利用したコンテナ環境の管理は、マルチクラウドにまたがる複雑で迅速なリソース管理が難しくなるため、DatadogやSysdigなどを利用した管理体系を必要としてくると推測され、類似した製品やソリューション群が登場すれば、プラットフォーマーに阻害されないビジネスとなる可能性が高いと思われる。注目すべきはAIを利用した管理とリソース予測+アロケーションの登場により、マルチクラウド環境下での管理体系

を変える製品が登場していることである。

 

  1. 特化したソリューションの自社クラウドサービス化を検討(自社製アップセルの手段)

 2020年、Zinierという会社が日本に上陸した。これはAIをベースとしたフィールドサービス・オペレーションを自動化するプラットフォームである。IT業界ではテクニカル・サポートと言った方が分かりやすいかも知れない。つまり製品やサービスを売って、顧客がシステムを稼働させた後の、メンテナンスなどの技術的サポートを行うものであり、技術的なQAやソフトウェアのバグ修正からバージョンのアップデート、時には故障した部品の交換などを24時間体制で行うものである。

 これは、部品や人員のディスパッチなど、各社が自社開発したシステムによって運営されているのだが、これをSaaSでも提供しようとするものである。特にIT業界などは、ベンダーの栄枯盛衰が激しく、製品の入れ替わりが頻繁に起こる。そのたびに運用するシステムの内容を更新せねばならない、あるいは配置をシュミレーションした上で変えねばならない状況は、ビジネスのスピードを削ぐ要因の一つにもなり、また新しい商材取り込みの阻害要因ともなっている。

 このような、プラットフォーマーの手の届かないサービスを、自社のビジネスシステムの延長上で展開できれば、彼らの魔の手が伸びることなく新たなビジネスとして計算できうるだろう。当然ではあるが、それが一定のシェアを獲得するようなビジネスとなった時、買収などの動きが出てきてもおかしくはない。代理店一社のビジネスの柱であれば、一定の顧客を保ちつつ、独立したサービスを展開し、顧客をつなぎとめることになるだろう。某代理店が自社のストレージビジネスから派生した、病院向けのデータ保存サービスなども良い例だろう。某ファンド会社が買収提案をしてきたと言うから、成長性が見込まれるのではないか。某四国の病院がサーバー攻撃を受け、診療を一時ストップさせねばならない事態となったのは記憶に新しい。GDPRによる訴訟・制裁リスクに注目が集まる中、その代理店はセキュリティ製品を長く販売してきていることもあり、更に付加価値を高めることが出来るだろう。Facebookのように多額の制裁金を払える企業は限られるのだ。

 コンシューマー市場においても、SNSの細分化は進んでいる。例えばYAMAPのように、山登り愛好家を対象としたSNSは非常に面白い。ビジネスが大きくなれば、楽天などが目をつけるだろう、GORAや旧旅の窓のように。でも、こう言う領域は若い人達出ないとダメなんだろう。