6-4 【余禄】メタバース?

Facebookが社名をメタバースへ変更。。。でも、どこかで聞いたことのある話では?

私の手元に一冊の本がある。2007年4月発行の「セカンドライフの歩き方」という。セカンドライフは、仮想空間の中で、アバターを介してコミュニケーションを取れるサービスであった。実は私も当初かじってみたユーザーの1人である。自身のアバターを作成して仮想空間の中を移動し、世界中の人々(アバター)とコミュニケーションをとる。その中では売買もあり、仮想空間の不動産を所有することができ、当時その値段が高騰しているということであった。既にネット決済も普通に行われるようになっていたため、実際に購買行動も相当あったのだろう。この仮想空間はどこまで広がり続けるのだろうか、火山活動によって新しい島が出現するがごとく新しい場所が際限なく現れ、どこまで仮想空間で活動をする人口が増えるのだろうと当時思ったものだが、いつの間にか名前すら聞かなくなってしまった。私自身は、当時ネットワークのレイテンシーが使用に耐えられるものでなく、その交信相手とのタイムラグに満足できなかったので、止めてしまったことを記憶している。

 

 2021年11月に入り、Facebookが社名をMETAに変更すると発表した。今後メタバースに大幅な投資を行うというのである。Wikipediaによれば、メタバースとは、「コンピュータやコンピュータネットワークの中に構築された現実世界とは異なる3次元の仮想空間やそのサービス」を指すらしい。

はて?これはかつて一世を風靡したセカンドライフと何が違うのだろう。確かに、2000年代中盤と比べれば、ネットワーク、CPU、Memory、ソフトウェアやレンダリングの技術は格段に進化しているため、VRの表現力やスピードは格段の進化を続けているだろう。でも、問題は「何をしたいのか」である、私のような凡人には到底推し量ることが出来ないのだろうが、未来が見えているのだろうが、素朴な疑問が幾つか湧いてくる。

 そもそもメタバースなるものは、ファイナルファンタジーに代表されるゲーム業界では、とっくに実現できていることである(Facebookはスクウェア・エニックスを買収した方がいいと思うけどな、、、。)。あつ森だってそれに近いことは実現しているではないか。別に取り立てて騒ぐような内容ではない、Facebookが言うから注目はされるが、技術的には真新しいことはみられない。一体メタバースの中で何をしたいのか、そこを注視しておきたいと思うのである。

 もう一点理解できない点が、既存のFacebookやInstagramとのシナジーである。特にFacebookとの親和性には疑問を感じてしまう。Facebookユーザーのマジョリティは、年齢層が一般論として高いと言われている。ご存知のように、Facebookでは実名によるユーザー登録が義務付けられている。年配の方になればなるほど、実際に物理的な関係性を現在の若者に比べて多く持って生きてきたがゆえに、Facebook内で繋がっているユーザーの数と言うのは現実世界の人との繋がりの数そのものであり、よってその数が多いと思われる。一方、産声を上げた時にはネット環境があり、最新のサービスを小さな頃から享受している世代は、匿名によって見ず知らずの人間とのコミュニケーションに、違和感を持っていない。メタバースなるものは、後者であると思うだろうが、どうだろうか。

 

 Facebookは色んな新しい試みを発表しているが、あまり上手くいっている話は聞かない。Facebookが発行予定だった仮想通貨libraは、後にDiemに名称を変更されたが、現状様々な圧力によって押さえつけられているに等しい。

まさか、P2Pの取引のためのプラットフォームとして、メタバースを考えているのだろうか。少なくとも株価をあげることには有効ではあるようだ。