Blog7-4 続:Sales受難の時代到来

飲みニケーションなどという言葉は死語となる、向学心なき営業は淘汰される

  1. ビデオコンテンツのプロデュース力、および営業のプレゼン力の研磨(教育)

 Webinarというマーケティング手法がある。ライブであれオンデマンドであれ、ビデオコンテンツを利用して顧客ニーズを喚起しリードに繋げる、所謂Digital Marketingの一つである。外資の日本法人においてさえ、この手法は日本の商習慣には合わないということを米国のマーケティングに伝えていた。直接対面することを重視する日本の商習慣や文化、つまり電話や様々な非同期式コミュニケーションではお客がなかなか本音を言わないということもあり、最近はだんだんポピュラーになりつつも、エンドユーザーへの営業行為としての利用は余り高くならなかった。しかし、実際に顧客に会えなくなってしまったのである。

 今やZoomやMS Teamsは、ポピュラーなコミュニケーションツールとなった。未だにセキュリティなどの理由で、その利用が制限されている日本企業もあるが、そう言う彼ら自身もビジネス的に困難に直面するため、自ら変わっていくのは時間の問題だろう。そこで、考えねばならぬ課題を二つ上げておきたい。

  • Webinarコンテンツ・プロデュース力

 物理からバーチャルへ営業のあり方をシフトせねばならぬとしても、そのコンテンツを一からプロデュースしていては、スピードについていくことは出来ない。私の経験からしても、数をこなさなければ物理的な営業の効果に見合う結果は得られない(有象無象のどうでもいいリードが多いため)ので、コンテンツもできるだけ多くの種類を、旬を逃さず提供する必要がある。

 そこで、ITベンダーのビデオコンテンツに、日本語のサブタイトルをつけたものを多く準備することに集中したほうが良いと考えます。大手ベンダーならともかく、ましてや外資系ITベンダーの日本法人にコンテンツの創作や翻訳による吹き替えなどを要求しても時間ばかりが経ってしまいます。そのための予算計上すら時間がかかるでしょう。多くのWebinarに適したコンテンツをベンダーに出させ、サブタイトルをつけたものでWebinarをより多く早く実施することが肝要かと思われます。

  • 営業のプレゼン能力

 一番変わらねばならないのが、営業のあり方だろうと思われます。勘と経験、もしくは長い付き合いに裏打ちされた俗人的な営業スタイルに、終止符を打つのが今回のコロナ禍になるだろうと思います。バーチャルな環境で、どれだけお客をフックするか、PPTを使った初期プレゼンのやり方によって、営業効率とリードの案件化可否が決定的に違ってきます。トレーニングなるものを営業は一番嫌いますが、ここは分からせなければならないでしょう、彼らの仕事自体がなくなることを。



  1.   デジタル・マーケティングへの投資を増やし人員の増強、あるいは有能な外部リソースを確保(フィー

     ルド・マーケティングの変革)

 紙媒体への事例広告によるリード獲得はオンライン媒体へと変化をし、物理的なコンベンションもオンラインのイベントへと変化している。後者においては、2020年に私がいた会社もある代理店のイベントに参加した。得られた成果は正直芳しいものではなかったし、来場をバーチャルの世界に呼び込むことの難しさを痛感した。バーチャル会場を訪れた顧客は、ワンクリックというアクションを通じて特定のベンダーブースに入る。そうすると圧倒的に知名度の高いベンダーが有利となってしまうのである。イベントへの期待は、米国ではあくまでリード獲得にあるが、日本では知名度をあげるという側面を持つ。会場をそぞろ歩くユーザーたちは、視覚を通してブース内を通路から覗き見することができ、説明員が声がけをすることもできる。バーチャルなイベントではこれが難しい。今後、カーソルを移動させただけでポップアップが出て会社の展示品が出現するなど、見せ方の進化は進むだろう。また、顧客の意思決定者や重要な役割を果たす人材の低年齢化により、ネットやITに対するアレルギーも低下していく、労働人口動態の変化により若い人に意思決定権が移るからだ。加えて、東京オリンピックの会場問題があり、2020年は様々なコンベンションがキャンセルとなり、それは2021年秋までまで続いた。それにコロナがどう収束するかの問題もある。

 よって、これからのDG(Demand Generation)は、徹底的にデジタルを活用しなくてはならず、それに精通している人材を社内に確保するのが急務となる。内部での確保が難しい場合には、外部の有能な組織を確保しておくことが急がれる。私が知る限り、その確保競争はすでに始まっている。

 

  1.   オーダーメイド時代の終焉「人間がソフトウェアに合わせて仕事をする時代の到来」を再認識(覚醒)

Salesforceが出てきた時、当時のSiebel CRM Systemsは「あんなものは売れない」と公言していた。Customer Relation Managementに限らず、アプリケーションとは、企業やユーザーの業務プロセスと組織的要因を分析し、それを反映して一から作り上げるものであった。OracleやSAPなど、今では自らクラウドサービスを手がけるようになった会社ですら、当時はSalesforceの成功を疑っていた。既述したが、「人間が機械に合わせるのではなく、機械を人間に合わせて作るものだという常識」があったためだ。

今日、ユーザー側もソフトウェアに企業活動やプロセスを合わせることを厭わなくなってきたのである。そして、COVID-19によって、否応無くそれを実行せねばならない現実に直面し、不完全、未完成、商習慣や不安定という言葉で避けて来た新しい環境への取り組みが、企業命題として突きつけられるようになったのである。この流れはもう元に戻ることはない。加えて労働人口構成が低年齢化するにつれ、この傾向は加速して行く。IT商社やシステムインテグレーターは、このトレンドから目をそらさずに現実を受け止め、”Death by Cloud”から逃れる方策に、速やかに着手するべきである。そういう意識を社内に醸成しなくてはならないでしょう。